2008年3月3日月曜日

チームバチスタの栄光 ~斬新なミステリーに思わず高得点~

『チームバチスタの栄光』 ~斬新なミステリーに思わず高得点~(2008年2月)
総合87点/100点
(ストーリー:内容;28点
       一貫性;18点
       展開;18点
主張:7点
描写:7点
演技:9点)

現役の医者が書いた小説という事、加えてドラマ医龍でのバチスタブーム(?)に乗って一躍大ヒット作家となった海堂尊のこの原作は、なんとこれが 処女作だそうだ。私は相変わらず原作は読んではいないが、かなり面白い内容であり、原作でことの詳細をもっと読んでみたくなった。そして、いつも原作を気 にしない私だが、この作品では読んでいれば「もっと良い評論が書けるのに!」と思うのである。乱文になることをまずお詫び申し上げます。
もし中村義洋監督が、原作と違った描写をし、普通のミステリーのようにシリアルに仕上げず自分自身でコメディを織り交ぜた意図をしたのならば私 はこのチャレンジをかなり高評価したい。ミステリーでは普通、「誰が犯人なんだろう?」「この人の、この場面には怪しいなぁ。」と視聴者が疑心暗鬼になる ようにできている。しかしこの作品はそれを思わせない。コメディ描写があり、それがやりすぎではあるが、効果的なのだ。犯人やトリックを推理させないため に、結末をより面白く受け入れられる話。これはかなり斬新であり、新しいミステリー作品である。古畑任三郎であれ、視聴者は推理をしてしまうのだから。し かもコメディ性が作品を壊しておらず、シリアスな所はちゃんと描けている為、この手法は成功だと言える。だからこの作品を見る時には推理ゲームのドキドキ を求めてはいけない。若干甘い気がするが、この監督の意欲と斬新さに思わず高評価をした。原作を忠実に再現するのが全てじゃないことを教えてくれる良いヒ ントにもなろう。
ストーリー内容の展開でも高得点をつけた。犯人が分かった時点だけで終わっていたとしたらミステリーとしては確実に物足りなかったのだが・・・ その後しっかりと見せてきた。わざとらしくなるかもしれないがやはりここはしっかりと決めていきたい所である。かつ上記した推理させない効果のおかげで、 結末の意外性は倍増だ。原作がある作品ではあるがとぎれとぎれにならずしっかりと起承転結もつけられている。医療現場も制作費をかなりかけたもの。これが セットとはとても思えない。
演技については、竹内結子のすごさを改めて思い知らされる。まだ何の医者かも知らされていないのに、彼女の最初のワンシーンだけで不定愁訴の医 師であることが分かる。しゃべっていなくても表情だけで物語れる表現力は、只者ではない。阿部寛は、おちゃらけているが信念のしっかりした役が、実によく 似合うものだ。脇役、その他のキャラクター描写も分かり易くしっかりとしており、キャスティングもよい。
 まぁ、雑なところもあり批判すべき点もないわけではないが、普通のミステリーとは一味違った斬新なこの作品。そしてこの監督の大胆であるがや ることはしっかりとしている描写を是非見て頂きたい。個人的ではあるが私の考えと似ており、一気にファンになりました。『チームバチスタの栄光』、オスス メの1作です。

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