2007年12月22日土曜日

第5話 ~バーテンダー~


・ドライジン      15ml
・ドライベルモット   15ml
・ドライシェリー    15ml
・デュボネ       15ml
・オレンジキュラソー    1dash

製法:ステア

「バーテンダー」という名前のカクテルだ。

BARで売られているのはお酒ではない。
例えウィスキーのストレートでも、バーテンダーの手にかかればカクテルに変化する。
魂を癒す1杯に。

あなたは知っていますか?
バーテンダーの本当の意味を。


BAR「Spirits」第5話
~バーテンダー~

BARで提供しているものはお酒、というのはもちろんありますが・・・実はそれよりももっと大事にしなければならないものがあります。

それは、この場所でお客様と共に過ごす“時間”と“空間”です。

どんな人であっても、他のお客様に迷惑をかけない限りは幸せであって欲しい。
この場所で過ごした時間と空間によって、お客様が幸せになっていること。
その心だけにおいてバーテンダーという職業は、どのサービス業にも負けないはずです。

このカウンターにあるのが、BAR。
ここに、「TENDER」、優しさが加わると・・・


「バーテンダー」。

このカクテル。
ジン意外は全てワインをベースにしたお酒です。
ベルモットは白ワインにニガヨモギなどの香草を加えたフレーバード・ワイン
シェリーもまた白ワインがベースですが、製造の過程でブランデーなどを加えアルコールを強化したフォーティファイド・ワイン。
そしてデュボネは赤ワインにキナという樹皮をブレンドしたもの。フランスの食前酒です。キナはトニックウォーターの原料でもありますので甘くほろ苦い味がワインに加わりそのままでも充分に美味しい。

そのまま飲んで美味しいお酒同士を混ぜ合わせる。それは余計な作業なのかもしれません。しかしバーテンダーが本当に混ぜ合わせているものは・・・
お客様への想いです。

だから本来の味以上に美味しく感じるのだと思います。

そして、それこそが本当のBARTENDERの仕事なのだと、私は思います。



お客様、本日もBAR『Spirits』にお越し頂き、ありがとうございます。
どうぞ、「バーテンダー」です。






・・・・


そう、この店を始められたのもたくさんのバーテンダーさんのおかげ。
これまで関わってくれた全ての人達のおかげなんだ。

さかのぼる事5年前、
東京に来て1年目の冬。
俺はこの日、スピリッツの魔法にかかることとなる。

さぁ、物語は始まった。

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