2007年12月18日火曜日

東京タワー オカンとボク、時々オトン ~感動親子愛でなく、最高の親孝行だということを・・・~

『東京タワー オカンとボクと、時々オトン』 ~感動親子愛でなく、最高の親孝行だということを・・・~(2007年4月)
総合76点/100点
(ストーリー:内容;14点
       一貫性;20点
       展開;14点
主張:10点
描写:8点
演技:10点)

リリー・フランキー原作で、テレビドラマにもなった『東京タワー』が映画化。私は小説もドラマも見ていませんので、原作、ドラマとの比較ができないことにはご了承を。
この映画、自叙伝ということでモノローグと過去との回想で物語がしばらく続いていく。シンプルであるがこういう王道パターンが非常に効果的であ り、かつ要点をついたきれいな起承転結で、オカンとの思い出に関する描写はほぼ満点の出来である。実際に体験している訳でないが、なんでこんな風に表現で きるのかと思う細部にまで拘った昭和の町並みも感心だ。それだけにオカンが数年で急変してしまったことがチョンボに思えて残念である。ストーリーでのオカ ンと“ボク”の描写は実にリアルで、2人のやりとりに見ている側も感情移入がしやすく作品に自然に入り込める。飾った言葉ではなく、実際に言われたことな のだろう。大学の留年が決まってしまったところを正直に言う息子に、きっとあのオカンなら怒るんじゃなく、「何でがんばっとれんやったとかぁ・・?」とな るに違いない。自叙伝のいい所をちゃんと映画でも発揮している。この当たりがストーリーで高得点をつけた要因である。
しかしながら、これだけ上手い回想をやっておきながらも、展開に少し欠け、ちと、くどい。見ている途中、これで感動にもっていけるんだろうかと の不安がよぎる。実際に、親子愛ということでの感動はおきない。泣けるはずのシーンも、お涙頂戴ばりの中の下以下の展開と描写。あぁ、単なる思い出話を描 いただけだったのかという作品・・・。と!!思いかけたのだがこの後がすごかった!最後までリアルに拘ったのも、これが描きたかったのかということが分 かった瞬間に作者のすごさを痛感した。これなら敢えてくどい回想シーンにしたのも頷ける。さっきまでのガッカリはおつりがくるくらいの感動に変わるのだ。 皆様もそのワンシーンから映し出され、感じ取るものを見逃す事なかれ。残念なことに親子愛で感動して終わりの人がいるだろう・・・。しかし、そうじゃな い。「最高の親孝行映画」だということを、感じ取ってほしい。このことを描くに関してもっと分かり易くすれば良かったのに、というのが惜しいところだ。
演技に関しても満点をつけた。脇役もいいのだが、主役の中川雅也役オダギリ・ジョー、オカン役の樹木希林の2人に尽きる。特にオカンの抗がん剤治療シーンは圧巻。あの演技にはどんな大女優も息を飲むに違いない。
久々の大ヒット作品『東京タワー オカンとボク、時々オトン』。オススメです。どうぞ、原作者の親孝行をご覧あれ。

2 件のコメント:

Chart Smart さんのコメント...

NICE Blog :)

シンタ さんのコメント...

ありがとうございます。

まさかコメントを下さる方がいたなんて!