2007年3月12日月曜日

ハチミツとクローバー ~芸術的な青春~

総合82点/100点
(ストーリー:内容;19点/30点
       一貫性;20点/20点
       展開;15点/20点
主張:10点/10点
描写:10点/10点
演技:8点/10点)

美大生の青春を、その舞台の通り芸術的な描写で展開していく青春映画。原作は羽海野チカの『ハチミツとクローバー』。大ヒットコミックらしいけど、俺は原作を全く知りませんので、原作との関連についてのコメントがないのはご了承を。

テーマは青春恋愛。ストーリー展開やキャラクター描写がセリフや表情での具体的表現でなく、「絵画」を中心とした抽象的な、芸術を媒介として表現されていく。相手の事に惹かれていく様。それが交互に作品を作るという事で表されていく様子がその例で、文字通り「芸術的な映画」というのはこういった作品を言うのでしょうか。そんな抽象的な表現が多いこの作品だからこそ、クライマックスでの「好き」という言葉が非常に魅力的に感じます。
ワンシーン毎にとぎれとぎれになってしまうのですが、それこそ演出のように感じる技術はすごいです。起承転結のつけ方が非常に綺麗です。特段涙を流すような感動シーンやストーリーとしても盛り上がりはないけれどこういった純粋な青春を見て、心にじわりとくる『ハチミツとクローバー』はなんだかタイトルのように「甘酸っぱさ」を心の中にもたらしてくれます。
キャラクター5人を演じる俳優・女優陣の演技もとても良いです。特に「はぐみ」を演じる「蒼井優」。かわいくて純粋でプラトニックな笑顔。他の作品ではそれがわざとらしく感じてしまったけど、ことこのキャラクターに関しては抜群の相性です。この女優のキャスティングは巧みです。その他にも天才・平凡・変人そんなキャラ像をしっかりと演じきれている各キャストも良いですよ。
 ただただ、純粋な青春であるが故、プラトニックすぎる面は、常日頃の恋愛作品を見慣れていない人であっても刺激が足りないでしょう。大学生(しかもちょっと変人な)で、こんな甘いことは・・・みたいな事を感じた人はすみませんがもう少しこの映画の中に溶け込んで見てみてはいかがでしょうか。

ストーリー性の盛り上がりや感動ではなく、芸術的な青春を味わえる『ハイチミツとクローバー』。まだ見てない人は是非借りてみてはいかがでしょう?
オススメの1品です。

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