2007年2月18日日曜日

俺とアカペラ 第2章 ~始まり~

ボイパ ~口でドラムの音を出す~
:ボイスパーカッションの略。正式にはヴォーカルパーカッションと言う。

練習をして1ヶ月が経とうとしたころ、何となくコツというものをつかみ始めていた。
「普通の人間じゃ、出せない音が、自分の口から出る。」
もともと人と違う事をやるのが好きだった俺は、自分がテレビで見て引き込まれていた、その音を出せるようになったのが相当嬉しかったらしい。気付いた時にはボイパの楽しさにハマリ、夢中になっていた。新しい技ができた事が嬉しく、それをさらに上手くしようと思い練習を重ね、気付けば5時間が経っていたなんて事もある。
普通に生活をしていたらありえない、声を出しすぎての「首の筋肉痛」も味わった。音楽をしている友人に言わせると、
「低い声と高い声を交互に出すから、すごい負担になってんじゃない?」 らしい。
そう、そのときの俺は、もう何よりもボイパがやりたかった。

しかし、もともと俺がそれを始めるきっかけであった妹のアカペラバンド計画は、ただ単に流行に流されるがままの先走りのみで実際に実行には移されず、俺はただただひたすら一人で練習をするだけだった。

一通りの基本を覚え、実践で使えるように、つまりはアカペラバンドの一員として演奏ができるまでになった時も、俺は独りで、自分の技を磨くだけであった。

「一人だけでは・・・。」

そう、俺の技であり、この音は、もともとはバンドとしての音。楽器だけでの演奏には限界があるし、楽器ができる人は、ボーカルや、その他の楽器と合わせてみたいと思うのが当然だ。
ボイパだけでなく、他のパートと合わせてみたいという俺の思いは日に日に強くなり、同時に虚無感も増していった。

そんなある日、1通のメールが届いた。
高校からの大親友である「陽介」からのものであった。
こいつとは高校1年の時同じクラスで、一緒にバンドを組み「ツインボーカル」をしていたバンド仲間でもある。彼には一度飲み会の席でボイパを披露していた。まだまだ未熟極まりない時にやったものであったのだが、彼からのメールにはこう書かれていた。

「おいーす!ボイパの調子はどうだい?今度友達と、『ハモリ倶楽部』の出場を目指さないか?って話があるんだけど、どう?」

俺のアカペラへの道が始まる、大きな1通であった。

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