2007年9月24日月曜日

華麗なる一族 ~ドラマでは、人生で一番の大傑作~

『華麗なる一族』 ~ドラマは、人生で一番の大傑作~ (1974年1月)

総合 65点
(ストーリー:内容;25点/30点
      一貫性;10点/20点
       展開;13点/20点
主張:8点/10点
描写:8点/10点
演技:4点/10点)


 山崎豊子原作の本作品は、2007年にTBS開局55周年記念ドラマとして全10話から放送された。主人公万俵鉄平の生き様には日本中が感動を 覚え、ドラマ自体も非常に高い評価を受けた作品である。映画は1974年に公開されており、ドラマで万俵大介を演じた北大路欣也も別の役で出演している。
 この映画を見た全体的な感想は、「ドラマの方が断然良かった」である。しかし原作が非常に良い為ストーリーはかなり面白く、映画の方もかなり の高評価を出した。ドラマと映画の大きな違いは万俵鉄平にスポットを与えている機会がかなり少なく、鉄平の生き様が伝わってこなかったことだ。専務として の社員に対する態度、兄弟姉妹に対する兄としての態度など、鉄平の人間性の良さが表現されていないため、最後のシーンの感動がグッとこない。そして、時間 の関係もあるかもしれないが、ドラマでは鉄平以外の脇役もかなり良い味を出しておりそれぞれのリアルな人物描写が、視聴者を作品に引き込んでいくのに、映 画ではそれがない。演技の下手さもあり、それぞれの人物描写もドラマに比べると大変物足りなく感じてしまうのだ。
 しかし、原作はかなり良い。今まで見たことのないスケールの大きな、そしてそれを実にリアルに描いている。そう、この作品の面白さは普段我々 庶民がふれることのない財閥の世界を実にリアルに表現しているところにある。見る人によっては「難しい話」ということも聞くが、作品の登場人物をうまく活 かして知らない世界を分かり易くリアルに描いているため、ストーリーがかなり面白い。話の展開だけなら、シェイクスピアのリア王のようなありふれた話に なってしまうが、スケールを大きくリアルに描いているから面白い。何より主人公鉄平の人柄には見ている人全員が引き込まれる魅力がある。
 もしドラマで採点をすると、ストーリー68点、主張10点、描写10点、演技10点と、ほぼ満点をつけたい1作だ。まだドラマ『華麗なる一 族』を見ていない人には是非DVDを借りて見て欲しい。私が24年間で見たドラマの中で一番の大傑作である。見終わった後にはきっと何かを感じ、考えさせ られ、自分の確かなプラスとなることができる。

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