2007年9月15日土曜日

叫 ~久々に素晴らしいホラー描写が見れた~

叫』 ~久々に素晴らしいホラー描写が見れた~ (06年12月)
総合66点/100点
(ストーリー:内容;19点/30点
       一貫性;9点/20点
       展開;14点/20点
主張:7点/10点
描写:9点/10点
演技:8点/10点)

 近頃は小説や漫画、ゲームからの実写ホラーが多かったが、この『叫』は映画オリジナルのストーリーで、ホラー好きの私としても期待が高まる作品だ。ホラー映画において、世界的にも評価の高い黒澤清監督の作。
 さすが、ホラーの巨匠というだけの作品で、映画を怖く見せる描写は圧巻だ。ゆったりと視聴者の心を落ち着かせておきながら、突然現れる幽霊で 「うわっ!」というシーン。逆に効果音や大声を使うのではなく、ゆったりと現れる幽霊で「ゾクッ!」とくるシーン。ただ怖いCGやメイクでわ~わ~と叫び 回るホラー映画とは違う、さすがの描写であると思った。殺人事件を追う刑事自らが容疑者になり、しかも自分が知らないうちにやってしまったかもしれないと いう、そんなストーリー展開も、幽霊という非現実的なものにリアリティを加え作品全体を面白くしている。最近のホラー映画で怖がれなかった方には是非見て 欲しい1作だ。
ただし、ミステリー・サスペンスの面をとると肝心の話内容が上手くまとまっていない。とくにクライマックスからエンディングにかけて実に荒々し い。どんでん返しは面白いのだが、それではどうして??や、どういうこと??と突っ込みたくなるような箇所が満載で、結局ストーリー全体が非常に汚くまと まってしまっている。解決においての重要なポイントは、手段・可能性と、そして「動機」なのである。これまでの伏線や描写を上手く使ってクライマックス、 エンディングを迎えて綺麗に終わることができていれば、最高のホラー映画に仕上がったこと間違いなしである。
 結局のところミステリー映画というものは、ただ怖いだけではダメで、しっかりとしたストーリーがあってこそ「良い映画を見たなぁ。」と感じる ことができるもの。ミステリーやサスペンスなどは、話を面白くできる展開が豊富なのだから起承転結を綺麗に駆使し、面白いストーリーを作っていくべきであ る。抜群のホラー描写はかなりのものであったが、この映画にはそこが足りなかった。

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